ブランド ヒストリー

  • ニヴァロックス
  • 旋盤作業の様子
  • 1950年代の作業場
  • 1970年代に描かれた組立図

「耳を傾け、研究し、改善し、役立てる」。

これはStraumann ResearchInstitute が60 年前の草創期に掲げたミッションであり、Straumann は現在もこの姿勢を貫いています。現在のStraumann らしさのすべての基盤は1920 年代に築かれました。若きスイス人エンジニアを襲ったスキー事故と、彼が開発した時計のゼンマイ用の革新的な素材は、Straumann がスイス北西部にある小さな研究所から歯科用インプラントのグローバルリーダーに成長する上で大きな役割を果たしました。

最初のひらめき:スキー事故
すべては1925 年から1926 年の冬に始まりました。Reinhard Straumann (1892 年~1967 年)はスキージャンプで激しく転倒し、長い入院生活を余儀 なくされました。この事故がきっかけとなり、時計業界で働いていた彼は、金属 の結晶構造といった研究テーマを、骨の有機的構造および年齢に伴う変化へと広 げることとなりました。熱心なスキージャンプ競技者であった彼は、時計の精度 向上のため長年にわたって耐久性の高い素材の冶金研究を行っていました。なか でも、1930 年代にStraumann が開発したニヴァロックス(Nivarox:Nicht variable oxydfest(非変動非酸化))と呼ばれる合金は、機械式時計にとって、 極めて重要な革新をもたらしました。

Reinhard Straumann
Dr. Ing.

骨接合術に関する基礎研究
Reinhard Straumann は事故後、スキージャンプを科学的見地から考察し、 ジャンプの安全性の確立に力を入れました。十分に時間をかけ、最適なジャン プ台の形状や着地滑走路、そして、空気力学的に見た最適なスキージャンパー の姿勢の数学的モデルを構築したのです。この功績は、スキージャンプの安全 性とトレーニングにおける世界的な基準の確立へとつながりました。彼の研究 は医療問題にも及び、その一環としてヴァルデンブルクに拠点を置く研究所は Chirurgische Universitätsklinik Basel(バーゼル大学病院)と共同でX 線 分光法を用いた無機質骨の結晶構造の研究に乗り出しました。当時、骨の結晶 構造についてはあまり知られておらず、有機質骨が結晶構造であるということ も新たな発見でした。1932 年には、幅広い評価を得た3 本の専門的な論文が 立て続けに発表され、Reinhard Straumann も権威ある大学教授らとともに 著書の1 人として名を連ねました。それから30 年後、その基礎研究によって、Institut Straumann AG はこの知見を科学界で応用し、骨折治療における骨 接合術用インプラントのための合金およびモデル開発に成功したのです。

 

1954 年:「Institut Straumann(ストローマン研究所)」
時代の幕開け

Reinhard Straumann は、1954 年に合資会社として従業員20 名で小さな研究所である「Forschungsinstitut
Dr. Ing. R. Straumann, Waldenburg」を設立しました。すでに父親の後に続き、エンジニアの道に進んでいた息子のFritz Straumann も積極的に設立に関わりました。その後、父親が行っていた研究活動を徐々に引き継ぎ、摩耗、破損、錆に強い非磁性合金の開発に取り組みました。

医療テクノロジー分野への進出
1950 年代後半に、Fritz Straumann はバーゼル大学医学部と、1958 年に設立されたSwiss Association forthe Study of Internal Fixation(Arbeitsgemeinschaftfür Osteosynthesefragen – AO)との提携にこぎつけました。これらのワーキンググループは、骨接合術(骨折治療)技術の最適化と標準化、フォローアップ検査によるプロセスの観察、それに必要な機器の開発を目的としました。しかし、開発は腐食や素材疲労といった問題で思うように進まず、また、素材の入手も困難で、実験には技術サポートも必要でした。そのような中でストローマン研究所は、長年にわたって培った専門知識を提供し、1960 年にAO およびドイツ、ベトラッハに拠点を置くMathys 社との間に極めて有力な協力関係を結びました。このときに開発され、集められた原理や結果は、現代の外傷学を構成する本質的な要素となっています。

完璧な合金の追求
ストローマン研究所は、金属と合金、そして関連する腐食 生成物の組織親和性の研究と、「生体力学的ストレスによ る整形インプラントの疲労」と「骨折の治癒」というテー マにますます力を入れるようになりました。有害物質を含 まない耐摩耗性に優れた合金を開発することが、その目的 でした。研究所が開発したインプラントスチールの仕様は、 今日の国際的なISO およびASTM 規格の基準となりまし た。1964 年には、「Synthes」というブランド名でついに 整形インプラントと器具が発売され、新しい金属チタンを 使用したプレートとネジが初めて製造されました。

Straumannでのインプラント歯学の始まり
1960 年代に、初めて歯科研究を請け負うことになりまし た。チューリッヒ大学病院のピンタイプ歯根の腐食に関す る研究から開発されたネジ形歯根は、その機能的なデザイ ンと防錆性で注目を集めました。その他にも、Prof. André Schroeder が所長を務めるZahnärztliche Institut Bern(ベルン歯科研究所)などの大学系列の病院が金属 インプラントに興味を示しました。感染症を起こしやすい 顎部分の組織の親和性と結合に関しては、特に厳しい要件 が求められました。

1974 年:初めての充実タイプインプラントの導入
口腔インプラント歯学が決定的に飛躍したのは、1970 年 代のことでした。1974 年にさまざまな歯科大学病院の協 力の下、充実タイプインプラント(当時は中空シリンダー タイプが主)が初めて導入されたのです。それを可能にし たのは、生体力学、組織親和性、素材開発の分野に関す るストローマン研究所の専門知識でした。1976 年11 月 にStraumann は、ネジ形の歯科用インプラントを製造す るよう依頼されました。あらゆる金属と合金を扱った経験、 そして腐食に関する生体内試験と親和性に関する試験管内 試験によって得られた経験に基づき、主材料には純チタン が使用されました。

Straumann が歯科用インプラントのために特別に開発した技術により、6 倍の表面積を確保することが可能になりました。
最適なインプラントの形状と微細構造学的な表面性状/構造によって実現した骨とインプラントのしっかりとした接合は、組織学的にもはっきりと証明されました。
Straumann® デンタル インプラント システムのサクセスストーリーは、ベルンのProfessor André Schroeder による、このオッセオインテグレーション(骨結合)の証明から始まったのです。
そして、Straumann の歴史は続きます……。


ストローマン年表

ニヴァロックス

Dr. Reinhard Straumannが開発した時計ゼンマイニヴァロックスは、機械式時計に正確に時間を刻ませ、温度変化に耐性を持たせるために1930年代から使用されている素材です。この素材を使用した時計ゼンマイは、耐水性があり、耐磁性と防錆性に優れ、熱膨張係数が極めて小さいのです。これらの特性によって、複雑で高価な補正テンプ(振動を保つ心臓部のパーツ)は廃れていきました。現在も数多くの機械式時計のメーカーがニヴァロックス製のヒゲゼンマイを採用しています。ニヴァロックスと後に開発されたニヴァフレックスは、材料科学の観点から世界的企業としてのStraumannのその後の成功を支える重要な礎石であったと言えるでしょう。


出所:Institut Straumann AG およびStraumann Holding AG の社内資料および年次報告書、Dr. h.c. Fritz Straumann の還暦を記念する出版物(Liestal、1985 年)に寄せたPeter Fässler、Paul Gisin、Marcel Müller、Prof. André Schroeder、Heinrich Stamm、Dr. h.c.Franz Sutter の論文、Sutter およびSchroeder については、一部Swiss Dent 第4 1983 巻第6 号(Dr. Felix Wüst 社、チューリッヒ)より